ようこそ、三谷水産へ
 愛知県立三谷水産高等学校に合格された皆さん、おめでとうございます。心からお祝い申し上げますとともに皆さんを本校にお迎えする日をお待ちしています。
 本校は、入学する皆さんが3年生になった時に創立80周年を迎える、長い歴史と伝統を持った県下唯一の水産高校です。本科4学科、専攻科1学科を設置していますが、これは、日本の水産高校でトップクラスの規模であります。水産・海洋の5分野を学べる全ての学科が設置され、生徒の進路目標に応じた教育内容を備えています。このような教育環境のもと、水産・海洋関連産業に就職する生徒はもとより、モノづくり愛知を代表する各種製造業にも多くの生徒が就職しています。また、専攻科に進学してより高度な資格取得を目指す生徒や、国公立大学や専門学校に進学する生徒も多く、本県の水産・海運業界を中心に通信業界や製造業界、官公庁や研究機関等で活躍するなど、その優れた力量を評価されている先輩方が多くいます。さらに、近年は教員免許を取得して母校で後輩の指導に情熱を燃やす先生方も多くいます。ぜひ皆さんも、先輩方の後継者としての誇りを持ち、社会で活躍するという強い決意で、これから努力していただきたいと思います。
 本校は、「海・水産物・船」に興味・関心を持つ生徒が多く集まり、他の学校ではけっして体験することのできない魅力あふれる教育を進めています。平成19年度竣工された実習船「愛知丸」では、すべての学科で乗船実習が体験できます。海技免状を取得するための長期航海、世界や宇宙へと無限に広がる通信技術、小笠原や奄美の美しい海や魚とのふれあい、豊かな味を創造する食品加工など、学科毎に多くの感動体験が用意されています。これらの体験は、必ずや皆さんの人生を豊かに導くものと確信しています。また、地域連携や高大連携にも力を入れており、地元企業と協働で開発した「愛知丸ごはん」は2014年から4年連続でモンドセレクション金賞を受賞しています。今後も新たな企業と新商品開発(例:魚醤シリーズなど)に取り組んで、生徒たちに実践的な学びの場を提供するとともに、長期的なインターンシップとして確かな進路実現を目指します。高大連携ではマルチコプタの海洋調査等の研究や、水中ロボットの開発等成果を上げつつあります。
 本校は、平成28年度文部科学省より5年間、社会の第一線で活躍できる専門的職業人を育成する、先進的な研究を行う専門高校として、スーパー・プロフェッショナル・ハイスクールの指定を受けました。このSPH事業では「水産・海洋資源の持続的利用や六次産業化、グローバルな資源管理やローカルな里海の環境保全の取組等を通して、地域社会をリードし、海洋立国日本の将来を支えるグローカル人材を育成するための先進的かつ汎用的な研究」を課題としています。グローカル人材とはグローバルな感覚を持って地域社会(ローカル)で活躍する人材のことです。日本は四方を海に囲まれ古くから漁業や海運業が盛んです。海は世界とつながっていますし、大海原に回遊する魚に国境はありません。海洋立国日本を支える生徒の皆さんは、グローカルな人材に育ってほしいと思います。
 高等学校は中学校とは違い義務教育ではありません。自らの意志で学ぶところです。そして皆さんが選んだ本校は、県下唯一の水産高校として、特色ある教育内容と高度な専門教育を行っています。やる気さえあれば多くの資格も取得できます。大切なことは皆さんの学ぶ意欲です。本校で何を学び、何をしたいのか、それぞれの目標を掲げ、そのために3年間をいかに過ごすのか。そして3年後の夢を描きながら、校門(未来を照らす灯台の門)を入ってきてください。この目標や夢を持つことが活力のある充実した学校生活を可能にします。
 皆さんに、次の言葉を贈りたいと思います。
 「時を守り、場を清め、礼を正す(12文字の教育)」
 「時を守り」とは時間を守ること、遅刻をしないことです。「場を清め」とは掃除をしっかりすること、身の回りの整理整頓ができることです。「礼を正す」とは気持ちの良い挨拶ができること、ルールを守ることです。「時を守り、場を清め、礼を正す」この気持ちを常に忘れず、「凛として清々しく」高校生活を送ってください。
 すべての皆さんが充実した高校生活を送ることを願っています。そのために、私たちは最大限の援助を約束します。ようこそ、三谷水産高校へ。
 
  愛知県立三谷水産高等学校長
丸﨑 敏夫
 

平成30年度 卒業式式辞
   「三河の海を見はるかすここ三谷町の学び舎」に、海から吹く風に、確かな春の香りを感じるこの佳き日に、平成30年度本科第71回卒業証書、専攻科第63回修了証書授与式を挙行いたしましたところ、ご多用の中、蒲郡市教育委員会教育長 大原義文様を始め多くのご来賓の皆様方にご臨席賜りました。高いところからではありますが、心より御礼申し上げます。
ただいま、180名の生徒たちに卒業証書・修了証書を授与いたしました。皆さんの努力と研鑽の結果、この日を迎えましたことに、本校教職員を代表して心より祝意を述べます。また、今まで温かく大きく本校の教育を支えて下さった保護者の皆様に、心からのお祝いと御礼を申し上げます。
 本校は、社会の第一線で活躍できる、専門的職業人を育成する先進的な研究を行う専門高校として、文部科学省から、スーパー・プロフェッショナル・ハイスクールの指定を受け、本年度で3年目となりました。今までの研究成果は、「さんフェア山口2018」のSPH事業発表会において、生徒たちが立派に発表し、高く評価されました。
SPH研究事業の中で、ウナギの完全養殖についてまとめた生徒研究文は、産業教育振興中央会が主催する、全国の専門高校生徒研究文コンクールにおいて、見事、経済同友会賞を受賞しました。高校では初となるウナギの人工孵化や、餌の開発を含めた完全養殖の取組は、複数のメディアにも大きく取り上げられ、SPH事業の成果を広く周知することとなりました。夢のようなことですが、もし完全養殖が成功すれば「三水ウナギ」として、日本の養殖業に大きく貢献することになるでしょう。
また、三河湾の環境保全を目指したマルチコプターによる海洋調査をまとめた生徒の研究文も、優秀賞を受賞しました。さらに、深海魚のジンケンエビを原料とした魚醤「絹醸」の商品化や、水中ロボットによるイカナゴ夏眠場の水中調査など、SPH研究事業に様々な形で関わった皆さんは、海洋立国日本を支えるグローカルな「人財(宝もの)」です。
 日本は四方を海に囲まれ、太古より海と密接にかかわりをもってきました。私たちは海から食塩や水産物を得たり、船で物資を輸送するとともに、エネルギーや鉱物資源を利用し、心を豊かにするレクリエーションの場所として、有形無形の海の恵みを利用してきました。世界第六位の海洋面積を持つ日本は、水産物を利用する漁業管轄権や、海水中に含まれる資源(海洋資源)を利用する権利、海底資源を調査し開発する権利を有しています。
 今後、イノベーションの進展により、海洋資源と海底資源の開発は飛躍的に進展し、我が国は資源大国になる可能性が極めて高いです。例えば海洋資源では潮流などを再生可能エネルギーとしての利用や、海底資源ではメタンハイドレードや海底熱水鉱床などの鉱物資源の開発が、商業化に向けて急ピッチで進んでいます。特に「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレードは、日本の天然ガス消費量に換算すると約100年分の埋蔵量があると予測されています。海底熱水鉱床には亜鉛や金、銀、銅などの他、青色発光ダイオードの原料となるガリウムなどの貴重なレアメタルも多数含まれており、火山列島である日本では今後も新たな鉱床の発見が確実視されています。これらの開発に必要とされるのは海洋技術者であり、その中でも特に船員の確保・育成が強く求められています。
同じく日本は、水産資源の持続可能な活用と水産物の安定的な供給などを基本方針としています。世界の水産業は養殖業が主体となり、日本も今後ますます養殖業が盛んになると思いますが、ここでも必要とされるのが水産技術者です。
 また、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録され、和食への関心が高まる中、2020年の東京オリンピックがさらに追い風となります。和食といえば水産物、観光立国日本を支えるのもやはり水産・海洋技術者です。
今まさに「上げ潮」に乗っている、本校で学んだ皆さんには、ぜひ海洋立国日本を支える人材となってほしいと思います。
 校歌の最後の一節「海の健児の眉あがる、三谷水産に栄あり、いざいざわれら進まなん」のように、明日から始まる新たな生活に向けて、力強く前に進んでいきましょう。
 これからの長い航海は、凪の時もあれば大荒れの時もあると思います。大荒れの時は迷わず母校(母なる港)に帰ってきて下さい。三谷水産高校はいつまでも皆さんを温かく迎える母港でありたいと思います。
 最後に、皆さん一人ひとりの前途に洋々たる未来が開け、自分とともに周りも明るく照らす人生を、歩んで行かれることを心から祈念して私の式辞といたします。
  平成31年3月1日
愛知県立三谷水産高等学校長
 丸﨑 敏夫

過去の式辞
平成30年度 卒業式式辞 平成30年度 入学式式辞
平成29年度 卒業式式辞 平成29年度 入学式式辞
平成28年度 卒業式式辞 平成28年度 入学式式辞
平成27年度 卒業式式辞 平成27年度 入学式式辞
平成26年度 卒業式式辞 平成26年度 入学式式辞